「誠実な家づくり」を公言し、常にどうしたら?と自身に問いを投げかける「株式会社 わかさ建築工房」。問い続けるわけは、ただひとつ。デザイン性も機能性も経済性にも、お客様が納得できる家づくりを全うするため。これまでの経験に裏付けされた技術と若い世代に支持される提案力で「暮らし」を導きます。
想定外の建築の道
創業から、これまでの経緯を教えていただけますか。
父が建築業を営んでいたので、小さな頃から作業場が遊び場でした。お弟子さんが7人ほどいたので良く遊んでもらったことを覚えています。人手が足りないときは借り出されたこともあり、中学生の頃から木を削ったりして手伝いをしていました。お小遣いをもらうこともなく(笑)。私には兄がいて、その兄が家業を継ぐと思っていましたので、将来を考えることもなく普通に進学し工業系の企業に就職しました。しかし、25歳のときに父が体調を崩したため、有限会社 若狭工務店に入社したのが、建築の道に入ったきっかけです。
学生時代に手伝っただけでしたので、入社してから建築の勉強を始めて、棟梁の父と一緒に現場に入り、一から大工の仕事も学びました。その後、2014年に独立という形で、「株式会社 わかさ建築工房」を立ち上げ、現在に至ります。
幅広い世代に支持される、今の時代のニーズに応えた戦力
強み、特化していることはなんでしょう。わかりやすく親切な提案があるそうですね。詳しくお聞かせください。
デザイン性・価格・断熱重視の家づくりを行っています。デザイン性に関しては、弊社では女性の設計士がいますので、使い勝手の良さを一番に掲げ、女性ならではの目線に立った提案をしていることが強みではないでしょうか。特に評判がいいのは、打ち合わせの最初の段階で携帯やPCで見れるようにと、360度見渡せる3Dを作成して、お客様にお渡しすることでしょうか。図面上ではわかりづらいところや細かい部分が可視化できますし、ご夫婦2人でゆっくり相談する時間を設けられるので、要望を早い段階で伝えられることができ、理想の家により近づけられるメリットがあります。例えば、壁紙の変更も瞬時に変更できるため、イメージしやすく打ち合わせもスムーズです。ある程度煮詰めてからになってしまうと、時間も手間ももちろんですが、双方の精神面で負担がかかってしまうと思うんです。お客様は一生に一度の高い買い物ですから、精神面で極力負担をかけさせたくないですね。おかげさまで、若い層(20代~30代)を中心に幅広い世代のお客様にウケが良く、みなさんに喜んでいただいています。
無理のない提案こそ「お客様に寄り添う」こと
どんな家づくりを心がけていますか。
するときが希望に満ち溢れている反面、一番不安な状況なのです。だから、一番最初にしっかり打ち合わせをして想いを聞き出しつつ、こちらも提案やアドバイスをしないといけないと思うんです。弊社のお客様は若い方が多いので、金銭面でどうしても無理をしてしまいがちです。毎月の支払いや予算額を聞き、建てた後の資金繰りもシュミレーションして、将来を見据えた提案をすることが大切です。結論は「無理をさせない」。身の丈に合った家づくりを提案していくことが必要ですね。
材料の部分でも良い資材を少しでもコストを抑え仕入れて、その分お客様に還元できるように努力しています。水廻りは奥様が一番長い時間費やす場所ですので、デザイン性に優れた製品を厳選して、生涯に渡り「居心地の良さ」を追求しています。
大切なことは何か。それを見失わずに
家づくりで大切にしていることはなんでしょうか。
若い方だとデザイン重視になりがちです。しかし、日本には昔ながらの良さやしっかりとした理由があってデザインを施している箇所があります。屋根の軒がいい例です。意味があるから軒があるんです。そのような意味や昔から受け継がれている技術・文化も重要視したデザインを心がけています。弊社には、天皇陛下が宿泊されたことのある一流ホテルを請け負った大工がいますので、カッコ良さだけではない、目に見えない機能性や大工の丁寧で確かな技術も紡いでいきたいと思っています。
そして、もうひとつ大切にしていることは受注件数です。お客様のことを考えると多くの受注は受けられません。工事に対してバタバタしたくないんです。納期を気にして慌てて工事をすることに納得できないですし、仕事をいただいたからには、自分の家だと思って、じっくり建てていきたいので。時間を追われるようなことはしたくないですし、バタバタして大切なものを忘れてしまってはいけないと思っています。